青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第4章 痛いほど
首を傾げていると、坂本さんは私にニッコリと微笑みかけた。
「枝尾に話したいことがあったんだよ」
「話?ここで?学校でも良かったでしょ」
「学校じゃ、アイツらがずっとお前にベッタリくっついてたからな」
あー…ほら、私だけじゃなくて周りの人にも迷惑かけてんじゃん。
絶対坂本さんだけじゃなくて、他にも迷惑してた人いたよ、これ。
「ここだとなんだし…ちょっとだけ抜けれね?」
「えー…もうすぐ試合始まるし…」
「すぐ終わっから」
「うーん…」
チラリと体育館内に置かれたオフィシャルタイマーを見ると、試合開始まであと5分。
ドリンクもあとは振って混ぜるだけだし…。
「ちょっとだけなら」
ま、坂本さんだし。
辞めたって言っても、元は同じ部だった人。
過保護なあの連中も何も言わないだろう。
私が答えれば、坂本さんは「こっち」と言って私の手を引いて歩き出した。
「…ねぇ」
「……」
「どこまで行くの?あんまり遠いと私、困るんだけど」
「……」
無言で私の手を引き続ける坂本さん。
もう体育館から結構離れた位置まで来た。
これでは戻りは走らなければ間に合わないだろう。