青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第4章 痛いほど
それでも、劉はスタメンなわけだし、そろそろアップを始めないと、本当にまずい。
「もう…ここならドア開けてれば、体育館の中からでも見えるでしょ?」
「……」
「サボらないから」
「そーゆーことじゃないアル」
「劉はスタメンなんだからアップ始めないと。IH前に怪我したら洒落になんないって」
「……」
あれこれ言っていると、漸く劉も重い腰を上げて、「絶対にここ閉めちゃダメアルよ!」と念押ししてアップに行った。
私も対戦校のマネージャーにドリンク粉末を分けて貰い、劉の言いつけ通りに開かれたままのドアの近くでドリンク作りを再開した。
「枝尾」
しゃがみ込んで既に水の入っているボトルに粉末を均等に入れていると、頭上から聞き覚えのある声が降ってきた。
顔をあげれば、そこに立っていたのは…つい先日自主退部したPFの先輩。
「坂本さん。こんなとこでどーしたの?」
何でこの人がここにいるの?
だって今日は陽泉で練習試合なわけじゃないし、部を辞めた人間がわざわざ他校まで試合なんて見に来る?普通。