青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第20章 流れ星に
雅子ちゃんが言いたいのは、間違いなくその件についてだ。
「さっさと着替えて、校門前に集合だ。と氷室に伝えておけ!!」
鋭い声で言い放った雅子ちゃんは、クルリと踵を返して行ってしまった。
「最悪アル…」
間違いなく、雅子ちゃんは部員全員を練習前に走らせる気満々だ。
去っていく雅子ちゃんの背中を見つめて、劉は呟いた。
「どんまい」
「笑い事じゃないアル」
それに対して、私はお腹を抱えて笑い出す。
劉は「笑い事じゃない」なんて言うけど、マネージャーの私は走らされることなんてないし、おそらくタイムを計るだけだ。
もはや笑うしかない。
「…あ。ハァイ劉と鈴佳」
項垂れた劉と、笑いが止まらない私が再び部室棟へ歩き出すと、校門の前で氷室と紫原と会った。
後ろには福井ちゃんとアゴリラも居る。
「悪い知らせアル…氷室」
「?」
何も知らない氷室が、陽気に私たちに声を掛けると、劉は沈んだ声で言った。
氷室が一体何のことだ。と紫原と一緒に首を傾げる。
「昨日の練習試合。手こずったから、監督走らせる気満々アル」
「…ジーザス」
「室ちんー俺、急にお腹が…」
死刑宣告のような劉の言葉に、現部員の氷室と紫原の表情は一転した。