青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第4章 痛いほど
*
「あれ?」
「どーしたアル」
今日はIH県予選前の最後の練習試合。
「明日来なければ命はないと思え」と昨日雅子ちゃんに脅された私は、渋々ながらも顔を出していた。
部員がアップをしている中、私が劉のお守り付でドリンクを作っていると、問題が発生。
「ドリンクの粉。忘れた」
「はあ?」
一秒でも早く帰ろう、と昨日の部活終了後に適当な準備をしたのが間違いだった。
まさかここで重要なものを忘れるとは…不覚。
このままでは、今日の練習試合は水オンリーで全員過ごさなくてはならない。
「何してるアル」
「へへっごめん」
てへっとした仕草を見せてみるが、劉に「可愛くないアル」とバッサリ切られた。
にしても、本当にどうしようか。
今からコンビニに買いに行っても試合開始には間に合わないし。
「対戦校から貰ってもいいかな?」
「ワタシに聞かれても知らないアル」
「ですよねー」
はぁ…と溜め息を漏らし、私はドリンク籠をそのまま置いて立ち上がる。
「劉もアップ始めてなよ。私、向こうのマネージャーにドリンク粉末貰ってくるし」
「鈴佳が一人になるアル」
「私、子どもじゃないから」
私が何を言っても、「鈴佳から離れないアル」と言って聞かない劉。
お前こそ我が儘真っ盛りの子どもか。