青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第19章 蓋をした
ちくしょー…私だって肉まん食べたかったのに…。
つか、そこ二人。いつまで笑ってんだ。
「仕方ないアルな…。はい、ワタシの半分あげるアル」
そう言って劉は、自分が買った肉まんを半分にして、私に差し出す。
それに私は目を輝かせた。
「劉…!ありがと!!」
今、劉の後ろに後光が差して見える!!
劉に貰った半分の肉まんを頬張りながら、私たちは寮へ向かって歩き出す。
「やっぱ秋田は寒いねぇ…東京が恋しいわ」
ハァ…と息を吐いてみれば、真っ白な吐息が暗い夜道でも分かるほどに見える。
「東京も大して変わらなかったアル」
「そんなことないでしょ。あっちは雪降ってなかったじゃん」
「ああ、この雪の量は尋常じゃないもんね」
「ほら、氷室もこー言ってるじゃん」
今もしんしんと降りつもっていく雪。
流石は雪国東北って感じだ。
この寒さは、秋田生活二年目になっても慣れない。
「確かに寒いけどー。でも、こっちの方がよく星が見えるよー?今は曇ってて見えないけど」
紫原が空を見上げながら言う。
そりゃそうだ。
なんせこっちは田舎なんだから。
都会の東京に比べれば、見える星の量は遥かに多い。