青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第19章 蓋をした
「会計、2688円です」
「……」
「「ぷっっぷすぷす…っ」」
多いのは気のせいじゃなかった。
紫原が差し出した籠をレジまで持っていくと、この有り様。
後ろに並ぶ劉と氷室は隠れてクスクス…と言うより、馬鹿にしたようにぷすぷすと笑っている。
あのぉ…普通、奢ってもらう時って少しは遠慮とかしません?
何、この容赦ない金額。
「枝ちん、ありがとー」
「…イイエ。ドウイタシマシテ」
一気に寂しくなったお財布。
ホントは、自分用の肉まんも買いたかったが、今月のお昼代を考えると躊躇してしまい、結局買えなかった。
もう二度と紫原に「お菓子買ってあげる」なんて口にしないと誓った。
「馬鹿アルな」
「うるさい」
「今日は鈴佳がアツシのお財布になってくれて、俺は助かったよ」
「それはそれは。良かったですね」
いつもは氷室が買って出るこの役目。
だが、氷室でも全額出すワケではなく、一つだけ買い与える。と言った具合。