第19章 蓋をした

「室ちーん…いつまでそーしてんの？いい加減メンドくさいってー。もう終わったことじゃん」


紫原は頭を抱えたまま、ピクリとも動かない氷室の肩を揺らす。


「これから主将なんだから、しっかりしてよねー。火神にリベンジするんでしょー？」


紫原の口から出てくるなんて思いもしなかった言葉に、私は一瞬驚いたが、クスッと笑う。

ふーん…あの紫原がねぇ…。

紫原の言葉に、氷室も僅かに肩を揺らして反応する。


「そうだな…アツシの言う通りだ」


氷室はスッと立ち上がり、しっかりと前を見た。


「岡村主将、今までお疲れさまでした。しっかりと主将を引き継がせて戴きます」

「おう。期待しとるぞ」


さっきまでのキノコでも生えそうな雰囲気はどこへやら。

と言うほどに頼もしい氷室。

今この場を持って、沢山…沢山お世話になった三年生たちは引退し、新チームが始動した。