青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第18章 良かった
だが、私と劉の目線は違う方へ。
「相変わらず小さいアルな」
「ああ!?」
「もーもーいー」
「え!?」
「喧嘩売んなよ。いや、すんません」
劉は無表情のまま若松に言い放ち、私は宿敵・桃井を睨みつける。
…とは言っても、私の目にはもはや恨みなんて籠ってない。
ただ、一人の好敵手として、桃井をその目に映していた。
だが、喧嘩を吹っかけていることは確かなワケで、私たちと桐皇二人の間に福井ちゃんが割って入る。
「お久しぶりです。雅子さん」
「う。どうも」
「折角ですから一緒に行きましょう」
「…はい」
監督同士の挨拶もあったようだ。
しかし、桐皇の監督に話し掛けられた雅子ちゃんの顔は引き攣っている。
「…どうかしたんすか?」
「…あの人は少し苦手でな」
「え!?監督にも苦手なモノが!?」
問いかけた福井ちゃんは、雅子ちゃんの返答に驚きの声をあげる。
気持ちは分からなくない。
私もあの手のタイプの人は、少々苦手だから。