青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第18章 良かった
それが拗れに拗れて、『女王』の私が出来上がったんだと思う。
「あーぁ…ホント、劉には頭が上んないなぁ」
「鈴佳がいつワタシに頭が上った時が有るアルか?」
「むっ失礼な」
口を尖らせて見せるが、私はすぐにクスクスと笑いだす。
それにつられてか、劉も笑い出した。
「ねぇ、劉」
私は劉を真っ直ぐに見据えて口を開く。
アンタだから、ちゃんと言いたい。
いつも側で支えてくれていたあなただから。
「ありがとう」
「!」
「いつも側に居てくれて…本当にありがとう」
きっとこんな言葉。
この先、一生言わないかもしれない。
でも、言葉にしないと伝わらないんだって、今日身をもって痛感してきたばかりだから。
「どういたしまして…アル」
「あれー?もしかして劉君ってば…照れてんのー?」
「照れてないアル!」
そんなことを言うわりに、劉の顔は真っ赤だ。
そんな劉が可愛くて、私はまたクスクスと笑いだす。
「この先も…」
「?」
「ワタシは鈴佳の側に居るアル」
「!」
真っ赤な顔をフイっと背けながら劉は言った。
「…うん。ありがとう」
正直、顔を反らしてくれて良かった。
多分…今なら私も劉に負けないくらい顔が真っ赤だと思うから。