青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第18章 良かった
*
元来た道。行きに乗ったのと逆方面の電車。
宿泊先に戻ったのは、日が沈みだした頃だった。
薄暗い空の下。
宿泊先の外で、一つの人影が見えた。
「おかえりアル、鈴佳」
「ただいま」
劉だ。
こんな寒い中、私の帰りを待っていたのだろうか。
お世話係も大変なことですね、と私はフッと笑った。
「ちゃんと話せたアルか?」
「うん」
「良かったアルな」
そう言って、笑い掛けてくれる劉。
そんな劉に、少しドキッとしたのは…きっと気のせい。
昨日のこともあるから、きっと劉に対して気恥ずかしさがあるだけ。