青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第18章 良かった
私は押し付けられたグラスを渋々受け取り、まだ腫れている目に当てた。
「…昨日」
何も話さない私に、兄貴が話し出した。
「鈴佳んトコの試合見た」
「え?」
「一昨日も、その前の日も。IHはテスト期間中だったから見に行けてねーけど、去年のWCも見た。まぁ…去年はほとんど、鈴佳はベンチに居なかったみてぇだけど」
兄があの会場に居たなんて知らなかった。
だが、考えてみれば何もおかしいことではない。
兄だってバスケ部だったワケだし、電車を乗り継いで行ける距離であれだけ大きな大会があるのであれば、見に行くのも頷ける。
ただ。ちゃんと私のことも見てくれていたことは驚きだ。
「…頑張ったな」
「……え?い、今…何て?」
「だから。頑張ったな、って」
「!?」
私は耳を疑った。