青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第18章 良かった
途方に暮れた私が項垂れていると、一つの足音がこちらへ向かっているのが聞こえた。
目だけでその足音を確認すると、その人物はよーく知っている人。
「あ」
「あ?………鈴佳?!」
兄だった。
何というナイスタイミング。
神様はまだ私を見捨ててなかった。
今月のミサ真面目にやってて良かったと心の底から思う。
一方。安堵する私に対して兄は、ここに居るはずもない、居るなんて微塵も思わない私の姿に目を丸くして驚く。
「どうも…鈴佳、です…」
「おまっ何でここに!?」
「…兄貴に会いに来た」
「はあ?」
何で?と言いたげに、眉間に皺を寄せる兄。
とは言いつつも、こちらへ歩み寄ってくる。
私の前までやってきた兄は、まじまじと私を見る。
「…久し…ぶり」
「…まだこっちに居たのか。もう秋田に帰ったかと思ってたわ」
「うん…ん?」
あり?
「もう秋田に帰ったかと思ってたわ」?
…何で陽泉がWCでこっちに居ることも、負けたことも知ってんの?
「兄貴…」
「ここじゃ寒いだろ」
私が言いかけると、それを遮るように兄が言う。
こんな風に私の話を聞かないのは、昔からでホント変わらない。