青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第18章 良かった
いや、無理だわ。
人が多すぎるあんな場所にこんな顔で行くなんて、ただの晒し者でしかない。
「…てゆーか、今日はちょっと行きたいトコがあるから」
「行きたいところ?」
「…兄貴のトコ」
「!」
夏休みに劉には話したけど、私には五つ上の兄が居る。
目の前の氷室の反応を見る限り、おそらく劉から聞いているのだろう。
その例の兄とは仲は宜しくないが、まぁ…折角の機会だから少し話してこようか、と…。
昨日の夜にこの話を劉にすると、「ついて行く」と申し出てくれたが、きちんと一人で行きたい。
「氷室と火神見てたらさ…私もちゃんと兄貴と向き合わないと、って思って」
「そっか」
「だから、試合は見に行かない」