青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第18章 良かった
翌日。WC六日目。
準々決勝敗退となった陽泉に、もう試合は無い。
すぐにでも秋田へ帰っても良かったのだが、雅子ちゃんの計らいで、最終日まで東京に滞在することに。
「鈴佳、おはよう」
「…お、おはよ…」
朝イチで私の部屋を訪れたのは、氷室。
昨日。劉のせいでわんわん泣いた挙句に、皆の元へ戻ってからも周りの優しさに気づき、一晩中泣き続けた私の目は大腫れ。
瞼の上にシジミが乗っていると言っても過言ではない。
「何か…用…?」
泣いているところを見られたことと、今現在もそれを物語る腫れ上がった目。
恥ずかしさと気まずさから、私は氷室から目を逸らして問いかけた。
「試合、見に行かないかい?」
「は?試合?」
涼しげな笑みを見せながら、「そ」と答える氷室。
「皆に振られてしまってね。アツシは付いてきてくれるんだけど、途中で気が変わりかねないだろう?アイツは」
「この顔の私に出掛けろと?」
ブスッとして私が答えると、氷室は苦笑いを浮かべる。