青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第17章 守る騎士
強くなくていいの?
弱い私でいいの?
もう…『女王』に拘らなくていいの?
そんな私を…ただの一人の枝尾鈴佳を、受け入れてくれるの?
「鈴佳は一人じゃない」
夏にも言われた言葉。
その本当の意味を私は理解する。
ただの枝尾鈴佳でも、弱い私でも、受け止めてくれる人は居る。
私の目から涙が零れ落ちた。
「りゅ…っ…劉ぅ…」
「鈴佳は鈴佳アル。もう苦しまなくていい」
私は劉の胸に飛び込み、劉のジャージにしがみついて泣いた。
子どもみたいに泣いた。
今まで我慢してきた分、沢山泣いた。
もう。
女王の柵に囚われなくてもいいんだ。
ただの一人の少女に戻っていいんだ。
私の中に残っていた負の感情は、涙と一緒に、全部劉が追い払ってくれた。
この日。
私は漸く、二年前のあの出来事から続く、女王の呪縛から解放された。