青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第17章 守る騎士
『女王』じゃない…ただの『陽泉のマネージャー』。
『女王』じゃない…ただの『枝尾鈴佳』。
「周りがどう評価しようと、ワタシたち陽泉にとっては。鈴佳が一番のマネージャーアル。それじゃダメアルか?」
「……」
私は首を横に振った。
それを見た劉はフッと笑みを溢す。
「強くなくていいアル。鈴佳は鈴佳でいい。弱くても、ワタシが…ワタシたちが全部受け止めるアルよ」
……本当はいつも思ってた。
早く、この『女王』の呪縛から解放されたいって。
私のことを…『女王』としてじゃなくて、一人の『枝尾鈴佳』として見て欲しいって。
心の中ではいつも叫んでた。
でも。どうやったら解放されるのかなんて、分からなかった。
どうやったらあの二人の影に怯えなくて済むのか、分からなかった。
だから、常に強くないと。
周りが求める『女王・枝尾鈴佳』としてのプライドを持ってないと。
でないと、私は必要とされなくなる。
そう思ってた。
「弱さを見せないことが、強いワケじゃない。だから…もう泣いていい」
語尾の「アル」もない、真剣な口調で言われ、私は劉を見上げた。
「泣いて…いいの?」
劉はコクンと頷く。
「ワタシが受け止める」