青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第17章 守る騎士
「…初めてだよ。ウザすぎて……逆にすげぇと思うのは」
紫原が、はぁ…と息を吐きながら言った。
「…しょーがないから最後までコートには居てやるよ」
「…!」
そして紫原はゆっくりと立ち上がる。
「雅子ちん」
「監督と呼べっつってんだろが!!」
「ヘアゴム一個くんない?」
「あ゛!?」
紫原の目を見た私は息をのんだ。
「待っててよ、女王様。必ず勝ちをもぎ取ってくるからさ」
勝てる。
嫌いなはずのその真っ直ぐな瞳に、コートに向かうその大きな背中に。
確かに、その瞬間思ったのだ。
『T・O終了です』
キュッと長ったらしい髪を一つにくくった紫原に続き、他の四人もコートに立つ。
「…まるで、女王を守る騎士だな」
「え?」
その背中を見送る雅子ちゃんが呟いた。
女王…私を守る騎士?
「枝尾の『女王』としてのプライドを守るために戦う騎士たちに。少なくとも私にはそう見える」
「……」
他の四人はどうか知らないけど、紫原だけは確実に違うだろう。
アイツは、ただ藍川のために戦っている。
それほどまでに紫原は藍川を想っていることを…私は知っている。