青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第17章 守る騎士
それと同時に。
とある人物の秘めてる想いも…。
その人物が必死に私を守ろうとしてくれてるのも。
私は知っている。
私の視線は、自然とその人物を追っていた。
「…頑張って…」
らしくもない。
きっとこれまでの17年間でそんな言葉、一度も口にしたことがない。
なのに、私は今確実にそう言ったのだ。
再開した試合。
紫原だけでなく、吹っ切れた氷室、他三人も動きにキレが増す。
フェイクでDFをかわし、氷室はインサイドに入りシュートを構える。
それに跳び付くのは勿論火神。
「悔しいが認めるよ。やっぱりお前は凄いよ…タイガ。約束の勝負はもう…俺の負けでいい。だが悪いな、それでも勝つのは俺たちだ」
氷室は大きく振りかぶり、紫原にパスを出した。
これでは火神は間に合わない。
紫原がボールを叩き込もうとした。
「何ィィィ!?」
が、それにすら火神は追いつく。
有り得ない。
こんなの人間の動きじゃない。
「言ったろ。負けんのは嫌なんだよ。だから勝つ!!」
驚愕するベンチを置いて、紫原は冷静に氷室へボールを返した。
「紫原が…パス…!?」
鮮やかな連携攻撃。
今まで練習でも一度も見たことがない。