青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第17章 守る騎士
が、その前を横切った者が居た。
「氷室!?」
氷室は紫原の顔を思いっきり殴った。
「いい加減にしろアツシ!!まだ勝負は終わってない!!」
「…てーな。そーゆー熱血っぽいのが一番ウザいんだけど。そもそも室ちんなんて、俺より火神に歯が立たないじゃん。才能が違うって分かんないの?」
「ちょっと紫原!!」
「…ってるよ」
紫原の残酷な言葉に、私が止めに入ろうとした時。
氷室の小さな声が聞こえた。
「…分かってるよ。そんなことは…ずっと…ずっとアイツの才能に嫉妬してきたんだからな…」
氷室の涙が頬を伝う。
それは、二年前の私の姿に重なった。
「なのに…俺が喉から手が出るほど欲してるモノを持ってるお前が、アッサリ勝負を投げようとしてる。怒りで気が変になるぜ、いい加減…!」
私の胸に響く…と言うよりも突き刺さる氷室の言葉。
心が痛んで痛んで仕方ない。
氷室の涙が紫原の頬に落ちた。
「うーわー引くわー。そーゆーの心底ウザい、てか有り得ないわ、泣くとか。何となく気づいてはいたけど…ここまでとは思わなかったよ」
「むらっ…」
それ以上は…と止めに入ろうとした私を劉が止めた。