青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第4章 痛いほど
私が声を掛けてみても、何も答えない。
「ねぇ、劉。何て書いてあんの?てか、それ私の」
「鈴佳。暫く一人で行動するのはダメアル」
「は?」
ラブレター(仮)を読もうと背伸びをしながら劉の手元に目を向けようとすると、劉は私がそれを目にする前に、高い位置にあげた。
さらには、そんなわけのわからないことを言いだす始末。
「何言ってんの?」
「兎に角、絶対にダメアル。わかった?」
「はあ?…ま、いいや。はいはい」
これは何言っても聞かないな。と判断した私は、劉からラブレター(仮)を取り返すのを諦めた。
別に何が書いてあっても関係ないし。興味ないし。どうせ捨てるし。
私は靴を履き替え、昇降口へ歩き始めた。
が、劉はいまだに険しい表情をしたままラブレター(仮)を凝視している。
「劉ー。部活行くんじゃないのー?置いてくよー?」
「!い、今行くアル」
劉に振り返りながら、私が声をあげれば、劉はハッとしてポケットにラブレター(仮)を突っ込んで私を追いかけた。
この時。
これはラブレターなんかじゃないこと。
何が書かれていたのか。
私は全く知る由もなかった。