青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第16章 挨拶を。
「けどおそらく実戦投入は初でギャンブル性も高ぇ。毎回黒子のパスカットが成功するワケじゃないし、そんな時は突破して得点できてる」
「福井ちゃんの言う通りだよ。これには時間制限だってありそうだし、要は慣れれば問題ないってことじゃん」
私がベンチに座る五人に向かって言うと、雅子ちゃんが全員の前に屈みこんだ。
「木吉不在で威力は最大ではなく止めきれないこともある…が、それら込みでの選択だろう。それでも無条件に紫原に攻められるよりははるかにマシだし、事実効果は出ている。まず第四クオーターは陽泉ボールで中央からスローインだ。自動的にハーフラインから開始できる。ここを確実に決めること」
雅子ちゃんは続ける。
「その後のオールコートマンツーマンはなまじ動けば黒子を見失いやすくなるし、パスを回せばカットされるリスクが上がる。よって突破方法はあえて一つ…」
「なるほどねぇ…氷室のドリブルで突き破るってことでオッケーですか?」
私が問いかけると、雅子ちゃんは頷いた。
「陽泉のエースは紫原ではない。紫原と氷室のダブルエースだ」