青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第17章 守る騎士
最後の十分が始まった。
開始早々、誠凛は陽泉と同じ2-3ゾーンのDF陣形を取る。
それも火神が真ん中。
まさか…紫原同様に一人で中を守るつもりか。
だが、ここでごちゃごちゃ考えても何にもならない。
福井ちゃんは紫原に大きなパスを出した。
「これは…アリウープだ!!」
「紫原ァ!!」
火神が追いつく。
けど、そんなモノ陽泉には通用しない。
「ちゃんとパスだしゃ、そんだけでいいんだよ。なんせ、陽泉のCは紫原だ」
火神を意にも介さず、紫原はアリウープを決める。
それもゴールに背を向けて。
「まさか本気で一人で止められると思ってんの?のぼせるのも大概にしなよ、火神…!」
「やらなきゃ勝てねぇってんならやってやるさ、絶対止める!!」
その火神の顔…私は嫌いだ。
やってみないと分からない。
やらなきゃ勝てるモノも勝てない。
…そんなことはない。分かりきってる。
アンタは紫原には勝てないんだから…いい加減諦めなよ。
諦めなきゃなんて…そんな感情、私は一番嫌いだ。