第16章 挨拶を。

…ターンした？

フリーでもないのに？


「紫原！！」


私が叫んだが、遅かった。

紫原は黒子にぶつかり、チャージングファールを取られた。


「（自分の非力さと影の薄さを利用して…流石は『幻の六人目』ってとこね）」


感心している場合ではないが、感心せざるを得ない。

誠凛ＯＦ。４番が強気の３Ｐを放ち、点差は６点。

それくらいでは私たちが動揺することはなかったのだが、次の誠凛のＤＦ陣形を見て、目を見開いた。


「なっ…」


オールコートマンツーマン。

雅子ちゃんも驚きの声をあげた。

ここでこんなＤＦで来るんなんて、リスクを伴いこそするが、破壊力と紫原封じには持ってこい。とでも言ったところか。


「走れ！動き止めたら一気に捕まるぞ！！」


福井ちゃんが叫び、全員捕まらないように走り出す。

だが、ここで一つの違和感に気づく。

細かくマークチェンジしているのだ。

となれば…フリーだと思っていたところに…


「しまった！！」


黒子が居る。

これは黒子のスティールを最大限に活かすＤＦ陣形だ。

そのまま黒子はシュートを決めた。