青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第16章 挨拶を。
代わりに出てきたのは…黒子。
僕はまだ諦めていません。とでも言いたそうな黒子の姿に、奥歯を噛みしめる。
出てきた黒子は、消えるドライブで劉を抜き、例のシュートを構えた。
それに紫原が前半より早く詰める。
だが、黒子は構わず撃った。
「!?」
「!違う!!これは…パスだ!!」
「ぅおらあ」
火神のアリウープが決まり、ゴールはギシっと音を立てる。
「流石にぶっ壊すのは無理か」
「この…っ」
そう何度もゴール壊されてたまるか。って話だけど。
正直、火神のダンクの力強さには私も驚いた。
一方、紫原は相当虫の居所が悪いらしく、益々顔つきが険しくなっていく。
それにほんの僅かな恐怖を抱いた私だが、それも次の瞬間に消えた。
「あ゛!?」
黒子が紫原のマークについた。
ミスマッチもいいとこだ。
「む、無理でしょ…何考えてんの!?馬鹿なの!?」
当たり前のことだが、どんどんポジションは紫原に奪われていく。
分かりきったことに、福井ちゃんは「ふざけてんのか?」とご立腹のご様子。
「そんな奴居ないも同然だ!とっとと決めちまえ、アツシ!」
そうだよ。居ないも同然。
紫原はボールを受け取ると、勢いよくターンした。