青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第16章 挨拶を。
想定外すぎる嬉しい誤算に、私と雅子ちゃんの口元は僅かに緩んだ。
いつもなら嫌がるOFに参加するほど苛立った紫原は、もはや手が付けられない。
トリプルチームも意に介さないし、鉄平の後出しの権利も弾く。
そして。
「そもそもバスケなんて欠陥競技じゃん。ゴールは3mの宙にある。その時点で公平なんて言葉はないんだよ。結局でかい奴が勝つようにできてる。それがこのクソスポーツの根本だろ」
紫原のダンクと共に、ギギギ…と軋む音を立てるゴール。
「こんなもんの何が楽しいの?」
支柱に亀裂が入る。
「小物がどんなに技術を磨こうが、圧倒的破壊力に勝てるモンなんてない。どんな理想も俺にとっちゃあ、ただのゴミくずだ」
モノ凄い音を立てて崩れ落ちたゴール。
私は「わあお…」と暢気に感嘆の声を漏らした。
「一時中断!!タイマー!時間止めて!!」