青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第16章 挨拶を。
『お知らせします。ゴール破損のため、試合を一時中断します。交換作業が終わるまで少々お待ちください』
勿論、こんなんで試合は続けられないワケで、試合は一時中断。
「さすがにこれは…こっちも驚いたな」
「正直…今日ほど味方で良かったと思ったことはねぇぜ」
氷室も福井ちゃんも壊れたゴールを見つめながら呟いた。
「何を今更…今まで一体何回ゴール壊されたと思ってんの」
「それでも…流石にこれは無いアル」
劉が言ったことに、私は腕を組んで横目を向ける。
まぁ…確かにいつも練習で使ってるゴールの破損なら、あり得なくはないし、こんな支柱からゴールをへし折る奴なんて他に居ないだろうけど。
でも、相手の精神を折るにはちょうど良かったんじゃないの?
「ね?監督」
「…枝尾が考えていることは大体分かったが…こちらまで動揺していては話にならんだろう」
「それもそっか」
ゴール破損に動揺しているのは観客や誠凛だけでなく、こちらも同じ。
「ほらほら。誠凛に一気に畳みかける折角のチャンスじゃん。さっさと止め刺してきなよ」
私はパンパンと手を叩き、動揺する四人に言った。