青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第16章 挨拶を。
そりゃそうだ。
体力が底をついただけならまだマシだろうけど…鉄平は膝に爆弾を抱えている。
それにもかかわらず、あんな無茶ぶりばかりやってればいつガタが来たっておかしくない。
なのに。
誠凛は交代させることなく、試合は再開された。
「はあ?交代しないワケ?ダメじゃん、誠凛の監督」
「とは言え、抜ければ一気に高さが足りなくなる。代えるわけにもいくまい…それでも時間の問題だがな」
「時間ねぇ…」
少しでも鉄平を長くコートに…そのためには少しでも楽をさせてあげたい。
そんな思いからか、誠凛の動きはキレを増し、火神がダンクを決めた。
これで点差は5点にまで詰め寄られた。
「アツシ?」
皆で協力すれば、皆で思いを一つにすれば。
そんなことを掲げる誠凛は、紫原が最も嫌うチームなんだろう。
「あー…もうこれ以上は無理だわ」
ここで漸く、私たちとしては嬉しい誤算が動き出す。
「紫原!?」
「不愉快すぎて吐きそうだ。お前らみたいなのが蠢いているのは。努力だの、根性だの、信念だの。ヒネリ潰してやるよ、全て」
紫原のOF参加。