青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第16章 挨拶を。
安心していいはずの場面なのだが、私にはほんの僅かの違和感が残った。
「(今のは…本当にただのダンクだったの…?)」
きっとこの違和感は紫原も感じているはずだ。
腑に落ちない何かを感じながら、陽泉のOF。
氷室がシュートを放った。
が、火神が僅かにその触れられないはずのシュートに触れた。
「…気づきましたね」
「ああ。だが、それでも止められるワケもないがな」
氷室の陽炎のシュートの仕組み。
今ので火神は気づいたのだろう…顔がそう言っている。
だが、雅子ちゃんの言う通り、仕組みに気づいたところで氷室を止められるはずもない。
そして、陽泉のDF。
絶賛PG中の鉄平にトリプルチームが付いた。
焦った5番は3Pを放つが、リングに弾かれ、さらにゴール下には紫原だ。
「焦りすぎでしょ。もーらい…」
「ぁあああ」
劉、アゴリラ、福井ちゃんのトリプルチームを振り切った鉄平が、紫原の上からボールを押し込んだ。
「ってぇ」
「何!?」
だが、流石に体力も精神力も底をつき始めたのか、鉄平はDFに走り出したと同時に倒れ込んだ。
「レフェリータイム!!」
審判が言い、タイマーが止められる。