第16章 挨拶を。

『陽泉、Ｔ・Ｏです』


雅子ちゃんも思わずＴ・Ｏを取った。


「紫原ァ！！何煽られてんの！？」

「うるさいなー…」


ベンチに戻ってきた紫原に、勢いよくボトルを渡しながら私は睨みつけた。

コイツの性格とあの鉄平の性格…間違いなく、鉄平は紫原を挑発している。

しかも、慣れない鉄平のＰＧに先程の３Ｐのせいでこっちの絶対防御は崩れ始めている。


『Ｔ・Ｏ終了です』


「…分かってると思うけど、生ぬるい勝ちなんて私は許さないよ」


立ち上がった選手を睨み上げて言う。

そんな私を見て、五人は頷いた。


試合再開。

誠凛は火神をコートに戻してきた。



「（ここで叩き潰せ…氷室）」


一対一の氷室と火神を見て、私は心の中で呟いた。

氷室は得意のシュートフェイクで火神を抜いたように見せ、それすらもフェイクでシュートフォームを構えた。

完璧に見えたフェイク。

だが、火神は騙されながらも、それに追いつき氷室のボールを弾いた。


「こっからが本当の勝負だ！氷室ォ！！」


火神曰く、本当の勝負が始まり、火神は調子を上げていったように見えたが、直後のシュートは紫原に止められる。