青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第4章 痛いほど
彼は…現在のスタメンPF。
「岡村をPFにするんなら…俺はどーなんだよ!!」
尤もな反論だ。
彼がスタメンになったのは私の二つ上の先輩たちが引退してから。
三年に上がり、漸く手に入れたスタメンの座。
それをいとも簡単に、それもこんな形で奪われるのだ。
「外れるしかないんじゃなーい?」
「なっ…」
紫原が言った。
「だって。アンタが元々上手いPFだったなら、わざわざアゴリラをPFにしよう。なんて枝ちんは言わないっしょー。結局、それまでだったってことじゃん」
「紫原…テメェ…!!」
「やめろ」
当たり前のように言う紫原に、怒りが頂点に達した彼は、ガタッと音をたてて立ち上がる。
それを諌めたのはアゴリラだった。
「言い方はキツイようじゃが、紫原の言ってることが事実じゃ。認めろ」
「岡村……!」
「わかっとったことじゃろ。これから三年間、紫原がエース…チームの要じゃ。『キセキの世代』を獲得するっちゅーことは、そーゆーことじゃ」
その言葉には、重みがあった。
ポジションを奪われた先輩は、たまったもんじゃないだろう。
その気持ちは、過去に同じ経験をした私には痛いほどよくわかる。
だが、これが現実なのだ。
受け入れる他、道はない。
アゴリラに言われた先輩は、言葉を失くし、勢いのまま部室を出て行った。
翌日。
彼はバスケ部を辞めた。