第16章 挨拶を。

「ったく…しょーがないわい。んじゃま、まずは一本。止めよーかい」


再開始された試合。

超ＯＦ型チームの誠凛は、まずスピード勝負を持ちかけるが、そんなモノ…うちに通用するはずもない。

アッサリと紫原にシュートは弾かれる。


「今までその方法で攻めてきたチームは星の数ほどいるが、その程度で破られるほどうちのＤＦは甘くないよ」


雅子ちゃんは冷静に呟く。

最初の攻撃に失敗した誠凛は、ルーズボールを拾い、再びＯＦに。

今度は、黒子を使った完全に裏をかかれたパスから火神のシュートへ。

でもねぇ…


「悪いけどどんなに速かろうが関係ないんだよねぇ。アイツは手だけじゃなくて脚も長い。加えて反射神経は常人のそれを超えるんだし…その程度の間合いは一歩で潰すよ？」


完全に意表をついた攻撃だったんだろう。

普通のチームが相手だったならば。

だが、残念なことに今の誠凛の相手は陽泉なんだよ。

火神のシュートは紫原に弾かれた。

紫原からは逃げられない。

３Ｐラインより内側は、全てアイツの守備範囲なんだから。