青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第16章 挨拶を。
大会五日目。準々決勝。
今日で四強が出揃う。
「劉ーそこのノート取ってー」
「これアルか?」
スポンサーの関係で試合の順番が入れ替わり、急にベンチ入りとなった私は珍しく進んで準備をする。
そんなせかせかと働く私を見たアゴリラは、「お?」と顔をニヤつかせてこちらを見る。
「なんじゃ枝尾。今日はもうベンチ入りの準備か?やる気満々じゃな」
「……」
アゴリラに言われなくとも、自分でも分かるほど今日の私はマネージャーらしく働いている。
だが、それをアゴリラに言われたことが気に食わない。
私は、フイっとアゴリラから顔を背けた。
「気安く話しかけんな、ゴリラ」
「な!?」
「アゴリラアル」
「コラ!!」
「お前らそこまでにしとけ」
通常運転の私たちのやり取りを見兼ねた福井ちゃんが、溜め息をつきながら言う。
「ったく…にしても、あの気まぐれ女王様が進んでベンチに入るなんざ、どーゆー風の吹き回しだ?」
今までの私の行いを見ていれば、そう言いたくなるのも当然。