青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第15章 アイツ…
それを見て反応したのは、氷室だった。
「…!アレックス!」
「タツヤー!会いたかったぜ、おーい!」
「ビックリしたな…いつ日本に?」
「「「…っ!?」」」
氷室の顔を見た瞬間に、その「アレックス」と呼ばれた美女は、氷室に肩を回したかと思えば、唇をむぅっと出す。
その行動に、私たちは声をあげることもできずに、ただただ固まって驚いた。
え、え、えぇ!?こ、こ、こ、ここ、日本ですけど!?
誰も氷室のキスシーンなんて見たくもないんですけどぉ!?
「ダメだよ、アレックス。日本じゃキスは目立つからね」
「ちぇー…なんだよ、つれねーなー」
「…とりあえず。どこか二人きりになれる場所へ行こうか。すみません、ちょっと外していいですか?すぐ戻ります」
「お…おう…」
な、慣れてるなぁ…氷室。
流石はモテる帰国子女。
外す、と言い残した氷室が、アレックスさんと並んでどこかへ行ってしまう背中を、残された私たちは呆然と見送っていた。
「…イカン。あっけにとられちまった。何だったんだ、あの金髪のねーちゃんは!なぁ…ん?」
ハッとした福井ちゃんが言った。
それにつられて、私たちも徐々に意識をこちらに戻した。