青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第15章 アイツ…
「はぁい。皆お疲れぇ」
「なーにが『お疲れぇ』だ、この阿呆」
「ったぁ…」
試合終了後。
ダウンを終わらせた選手たちの前に、私が現れると、福井ちゃんに思いっきり頭を叩かれた。
「いきなり殴らなくったっていーじゃん」
「殴りたくもなるわ!」
「試合開始直前にベンチ入りなんて、信じられないアル」
「間に合ったし、ちゃんとベンチに入ったんだから問題ないでしょ」
「大アリじゃ!!」
いつものような大目玉ではないが、ブツブツと苦情垂れる三人に、私は口を尖らせて視線は窓の向こう。
そう。
何を隠そう、今日はベンチ入りする気分でもなかった私は、前の試合の休憩中…選手がアップしている間に失踪。
そのままその辺りをブラブラしていると、雅子ちゃんに見つかってしまい、首根っこを掴まれてベンチに放り込まれた。
試合開始直前だったこともあって、その時は怒られることはなかったが、試合終了後にコートを出た瞬間に雅子ちゃんの愛刀の餌食となった。
「全く…いい加減、そのサボり癖どーにかしろよ」
「はいはい。気が向いたらねー」
「この野郎…」
お怒り気味の福井ちゃんを適当にあしらい、私は選手団に交じって控室へ戻る。
「…あ」
そんな中、前方のトイレから出てきた一人の金髪美女が、こちらを見て小さく声を漏らした。