青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第15章 アイツ…
何が言いたいのか分からないまま、私たちが試合を見ていた次の瞬間だった。
「!!」
あまりにも速すぎる青峰のその一連の動き。
聞いたことはあるが、高校生で入れるプレイヤーなんて聞いたことがない。
「まさかこれって……」
いや、あり得ない。
つーか、あり得られては堪らない。
でも、目の前にある事実。
これは…
「ゾーン…?」
「流石に俺たちも初めて見るよ。しかも、峰ちん。今自分の意志で入ったね」
「そんなこと出来んの!?」
「普通は出来ないよ」
一緒に過ごした時間の長い『キセキの世代』ですら見たことがないという、青峰のゾーン。
これが、青峰の本当の姿だと言うのか。
こんなの、高校生に居られては堪ったもんじゃない。
「あーぁ…可哀想。こんなの、もう誠凛に勝ち目なんて…」
「ないアルな」
残酷な言い方かもしれないが、ゾーンに入った…それも入ったのが青峰だと言うのなら。
誠凛には太刀打ちできる選手なんて存在しない。
これはもう、青峰に試合終了まで一方的にやられるしかない。