青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第15章 アイツ…
だが、第三クオーター終了間際。
今吉さんはブザービートを決める。
「あっちゃぁ…誠凛としては点差を十点内に抑えて終わりたかったとこなんだけどな」
「流石は腹黒妖怪。感服するわ」
「枝尾…それ直接本人に言ったらどうじゃ」
「嫌だね。私はまだ餌食になりたくないんで」
ふざけたやり取りをしているが、感服したのはホント。
人の嫌がることをさせたら、右に出る者はいない腹黒さと性格の悪さ。
流石は今吉翔一って感じ。
「最後の十分だ」
第四クオーターが始まった。
先程のブザービートを引きずるかと思いきや、意外にも誠凛はまだ諦めていない様子で、じりじりと点差を詰めていく。
第四クオーター開始から一分で、その点差はついにワンゴール…三点だ。
「…峰ちん…」
「アツシ?何か言ったかい?」
点差が三点になった直後。
紫原が何か独り言のように小さく呟いた。
聞き取れなかったその言葉を、氷室が聞き返すも、紫原の目はコートから離れない。