青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第15章 アイツ…
そして、試合が動き出した。
今吉さんが、黒子のマークについたのだ。
間違いなく、黒子封じにかかっているのだろう。
案の定、黒子は今吉さんのマークを外せないし、他の選手のプレイも全て読まれている。
間違いなく、桃井だ。
「(心底嫌いだし、腹立つけど。流石って感じだねぇ)」
桃井の情報収集力にその分析。
桐皇の強さは、青峰だけでなく桃井の力もあることは明白だ。
点差はどんどん開いていく。
「誠凛、万策は尽きたね」
私は頬杖をつきながら小さく呟く。
それを思ったのは、きっと私だけじゃないはず。
会場内に居る観客全員が思っているに違いない。
と、思っていたその時。
「…!!」
誠凛5番のマークについていた今吉さん。
今吉さんをドライブで抜いたのは見えたが、マークの今吉さんは一歩も動けていなかった。
まるで、黒子にそうされているかのように。
「今吉…今一歩も…」
アゴリラが声を漏らす。
私たち凡人だけが驚くのなら、話は別だが、紫原にチラリと目を向けると、私たち同様の表情だ。
何が起きてんの…?
ワケも分からないまま、誠凛は息を吹き返し、開いていた点差は八点にまで戻った。