青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第15章 アイツ…
あれが氷室の弟…火神大我…。
なるほど。
その身体能力にバスケセンス、まさしくそれは『キセキの世代』と遜色ないほど。
兄貴だと言う氷室が叩き潰したくなるのも分かる。
そうこうしている内に、青峰と火神の一対一の連続で前半戦は終了。
点差はたったの二点で、かろうじて桐皇がリードしている形だ。
「こりゃ、後半もどーなるか分かんねーな」
「…分かるよ」
「鈴佳?」
福井ちゃんが呟いた言葉に、私は横目に彼を見ながら答える。
「桐皇はまだ全力は出してないし、まるっきし動き出したワケじゃない。そろそろ今吉さんも動き出すんじゃないかな」
「俺もそれにサンセー。峰ちんも…こっからだと思うよー」
紫原も私に同調した。
休憩が終わり、後半戦。
コートに出てきた選手たちを見て、私は眉に皺を寄せた。
「(黒子が出てきた…?前半でほとんど手の内を曝け出して、それも通用しなかった…にもかかわらず?)」
一体何が出来ると言うの。
私はさらに皺を深くした。
コートに戻ってきた黒子は、大きく動くワケでもなく、火神のサポート…かと思いきやパスを出したり。
前半と何ら変わらないように見えた。