青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第15章 アイツ…
「おお、こりゃSG対決が始まったな」
ピリピリした空気を裂くように、アゴリラが言った。
コイツ…空気読めないの…?ま、いっか。
私はようやく展開される試合に目を戻した。
アゴリラの言った通り、試合は誠凛4番と桐皇9番の3P対決。
どちらも落とす気配が一切ない。
「ここに氷室が加わったらどーなんだろーな」
「俺が勝ってみせますよ」
「自信満々アルな」
福井ちゃんが笑いながら言うと、氷室はいつもの涼しい顔のまま答える。
それはそれで頼もしいんだけど。
結局、第一クオーターは同点で終えた。
「へぇ…やるじゃん、誠凛」
だが、勝負が動き出すとしたらここからだろう。
あの『キセキの世代』エースの青峰が、そう簡単に黙ってやられるワケもないし、腹黒今吉さんも動くはず。
そして、何より。
桐皇には桃井が居るんだ。
あの子の情報収集力は、ホント敵ながら舌を巻くほど。
誠凛の情報は既に、桃井の手の内に有るに違いない。