青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第15章 アイツ…
私は、もう一度誠凛のベンチに目を向けた。
確かに、指示を出しているのはあの子だ。
― 『お前の敵が藍川や桃井だけじゃなくなるって話だ』
真…アンタ、これを分かってて…。
監督、と言うことは、私同様に練習メニューも組んでるんだろうし、指示だって出す。
私と同じ…。
「これ以上…」
「鈴佳?」
奥歯を強く噛みしめる。
今の私の目には、試合なんて映らない。
「これ以上、私に仇なす者が増えて堪るかってんの…」
映るのは、誠凛の監督と桐皇の桃井だけ。
こうなれば、どっちだっていい。
どっちだろうが、絶対に叩き潰してやるんだから。
「鈴佳」
両チームのベンチを思いっきり睨む私に、隣の福井ちゃんが声を掛けた。
「闘志を燃やすのはいいけど、まずは目先の試合だ。どの道、どっちが勝ち上がろうと当たるのは準々決勝なんだからよ。その前に俺たちには二試合あることを忘れんな」
「分かってる」
明後日から始まる試合に集中しないといけないことくらい分かってる。
だけど、二回戦三回戦は『キセキの世代』どころか『無冠の五将』も居ないチームばかり。
私の真の敵なんかじゃない。