青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第15章 アイツ…
真が言っていた意味、やっと分かった。
「誠凛には気を付けろ」は、つまり「誠凛には『幻の六人目』が居るから気を付けろ」って意味だ。
アイツが居る限り、試合中、何が起こるかは全く予測不可能だ。
「この試合…どーなるか分かんないよ」
冷静さを取り戻しながら、私は座る。
全く…今年の一年共は厄介な奴らばかりだ。
私たちの試合はまだ始まってないのに、頭が痛くなりそう。
「それとさー…」
もう一つ。と言うように、紫原が頬杖をつきながら言った。
「誠凛の監督…枝ちんとタメらしーよ」
「…は?」
え?今、何だって?
「だからー誠凛の監督は、枝ちんと同じ高校二年生なんだってー」
紫原の言葉に、私はバッと目下のコート…誠凛のベンチに目を向けた。
控えの選手の他に座っているのは、おじいちゃんとマネージャーらしき女の子一人。
「何言ってんの?紫原…アンタ、あれが女子高生に見えんの?」
「そっちこそ何言ってんの?」
馬鹿だね。と言いたげな顔で、私を見る紫原。
い、いやいやいやいや…どこからどー見ても、監督はあのよぼよぼのおじいちゃんじゃん。
紫原の目には、あれが女子高生に見えるのか。
これはWCどころではない。
今すぐ眼科へ行くことを勧める。
「あのおじいちゃんはただの顧問で、監督はあの子がやってるらしーよ。さっちんが言ってた」
「!」
桃井が言ってた。
ならば、間違いない。