青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第15章 アイツ…
暫くすると、紫原も戻ってきた。
「やっぱ『キセキの世代』の居るチームの試合はすげぇな」
ごろごろと第一試合が消化されてゆく中。
黄瀬を獲得した海常高校の試合が終わると、福井ちゃんがしみじみと呟く。
「何言ってるアルか。ワタシたちだって変わらないアル」
「それって、俺のこと言ってんのー?」
「アンタ以外に誰が居んの」
劉の言った通り、私たち陽泉高校も同様に、紫原を獲得している。
見る人によれば、脅威のDFを誇る私たちの方が恐ろしく映っているのかもしれない。
「それよりも、俺は次の試合が楽しみだな」
「次アルか?」
「…ああ、桐皇と誠凛じゃったな」
「桐皇は俺らと準々決勝で当たるだろーから、ちゃんと見とかねーとな」
「そうですね」
氷室はクスクスと笑いながら答える。
…多分、氷室が楽しみにしているのは、桐皇じゃない…全く逆だ。
氷室の目には、桐皇なんて映っていない。誠凛だけ。
「出てきたアル」
両チームがコートに現れると同時に、湧き上がる会場。
その声援の九割以上が桐皇に対するモノ。