青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第14章 雪ウサギ
「…なまはげ?」
紫原が首を傾げる。
「そうだ。お前たちには年末の保育園のお楽しみ会でなまはげをやってもらう」
「「「えぇーーーっっ」」」
部室を震わせる叫び声が轟いた。
「か、監督!本気なんですかっ!?」
「本気だ。喜べ、これで単位は安心だぞ」
「で、ですが、年末ってWCは!?」
「問題ない。WC終了後にお楽しみ会だ」
身を乗り出した福井ちゃんと珍しく慌てた氷室の質問にも、雅子ちゃんは淡々とした口調で答える。
「けど、俺にはなまはげの衣装、入らないと思うしー」
だから自分には関係ない、とでも言うかのように言った紫原にも、雅子ちゃんは薄く笑う。
「安心しろ。保育士さんたちが、急ピッチでお前たちの図体に合う衣装を作っている。昔は特攻服の刺繍も自分らでやっていた奴らだ。手先は器用だぞ」
これは断れない…!
そう戦慄して悟った部員たちを横目に、私は笑い声をあげる。
「あははっ大変だねー皆」
なまはげをやるのは、おそらく部員だけだ。
私は保育士さんたちの手伝いでもやってれば単位修得なんだろう。