青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第14章 雪ウサギ
くっそ…!お前さえ居なくならなければ…!と瀕死寸前の私たちは心の中で呪うが、声に出す気力もとっくの昔に失われていた。
そして、思う。
……これって、単位はどうなるの?
あくまで、今回の雪像作りは授業の一環の『奉仕活動』としてだ。
雪像の完成を持って単位修得のはずだったがこのザマだし、もう既に夕方な上に体力も残っていない。
単位が無ければWC出場も危ぶまれる。
「…オイ、どーすんだよ。主将」
座り込んだまま福井ちゃんがアゴリラに問いかける。
アゴリラも、このバスケ部レギュラー陣一同最大のピンチに、腕を組んで考え込む。
「何をしているんだ、お前ら」
うーん…とアゴリラが頭を悩ませていると、声が掛かった。
バッと振り返れば、立っているのは我らが監督、雅子ちゃん。
「雪像作りはどうした?今日作るんだったろう?」
そう言いながら、雅子ちゃんは無残な姿に成り果てた雪像たちを見つめる。
「…お前ら、WCに行く気はあるのか…?」
「監督…!」
アゴリラがこの状況を説明しようと立ち上がった時。
それより早く動く人影が。
「姐さーん!!」
「姐さん!?」
誰が!?と私が声をあげる。
いや、この場に置いて「姐さん」なんて呼ばれるような人物は一人しかいない。
保育士さんたちが、「姐さん」と連呼しながら、雅子ちゃんに抱き付いていた。