青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第14章 雪ウサギ
それを氷室はクスっと笑い答える。
「なかなか手を放してもらえなかったので、ちょっと非常手段に出ました」
「非常手段!?」
物々しい単語に、福井ちゃんは慌てて先程の二人の女の子を探す。
とは言っても、探すほどでもなく、女の子たちは先程口論していた場所に立ち尽くしていた。
…頬を紅潮させて、うっとりした瞳で氷室を眺めながら。
「氷室?何したの?」
「それは秘密だよ」
私の問いに、氷室はいつもと同じ笑みを浮かべるだけ。
私たちは全員、顔が青ざめる。
コイツ…ホントに同じ人間なのだろうか。
「それより、アツシの姿が見当たらないので、探してきます」
呆然と立ち尽くす私たちに、氷室はそれだけ言い残し、公園の奥へと立ち去る。
アイツは一体何なんだ…。
ただ、これだけは分かる。
アイツだけは敵にしたくない。
それはここに居る四人、全員が同じことを思っているのだろう。