青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第14章 雪ウサギ
それを見ていた氷室も、側の私たちも「やれやれ」と肩を落とす。
「とうとう幼児からもアタックされだしたよ。こないだは、掃除のおばちゃんからファンレター貰ってたし…。アイツのモテ範囲、広すぎじゃね?」
「あ。私、昨日氷室が女子大生に告白されてるとこ見た」
「それより、幼女に誘われる氷室を、羨ましがってるモミアゴリラの方が問題アル」
劉はそう言いながら、隣のアゴリラに再び冷たい視線を送った。
「う、羨ましいなんて全然思ってないわいっ!」
「ツンデレ、気持ち悪いアル」
「ツンデレ知ってて、TPO知らないって何!?」
「鈴佳に教えてもらったアル」
「え、枝尾ぉ…」
余計なことを…とでも言いたげな顔で私を見るアゴリラの視線を私は口笛を吹いて無視する。
その様子に、福井ちゃんは、更に肩を落とした。
「お前ら、ほどほどにしとけよ。雪像作る時間なくなるぞ」
「そうですね」
「そうだろ?……氷室!?」
「ぎゃっ!?」
女の私とも、劉やアゴリラともまた違う。
涼やかな声に、福井ちゃんと私は振り向き、それと同時に声の主を見て思わず飛びのいた。
「お前、いつの間に!?」
「幼女はどうしたアルか!?」
忽然と福井ちゃんの隣に現れた氷室に、言い合っていたアゴリラと劉も驚きの声をあげた。