青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第14章 雪ウサギ
……はずだった。
「お姉さんたち、何してるアルか?ワタシとお話でもどうアルか?」
「……」
今、私の目に映っているのは、保育士さんたちに声を掛ける巨人Aの姿。
それに私は絶句して立ち尽くす。
…私が居ない間に、何やってんの?マジで。
それと同時に思い出す、先程の光景。
「さっきまでは私に優しくしてたくせに…移り身早すぎだろ…」
私はクルリと踵を返し、福井ちゃんの元まで走る。
「なんでお前の言うことは聞くんじゃ…」
「俺、昔からガキに言うこと聞かせるの上手いんだよな。つか、保育士さんたちも、ちったぁガキどもの動き見とけ…」
「福井ちゃーーーんっっ」
悔しいやら腹立たしいやら悲しいやら…複雑な感情のまま、私は福井ちゃんに飛び込む。
「ぅわっと……鈴佳?どーしたんだよ。危ねぇだろ」
「福井ちゃん…っあれ、あれ見てよ!!」
「あれ……?」
いきなり跳び付いてきた私に驚きながらも、福井ちゃんは私が指を指す方向に視線を向ける。
そして、そのまま言葉を失う。
「どうしたんじゃ?」
「あれ、見ろよ…」
私たちの様子を不思議に思ったアゴリラが、福井ちゃんに尋ねると、福井ちゃんもまた、私と同じ方を指さした。