青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第14章 雪ウサギ
子どもが苦手な私は、それを避けるように監視役の劉付で雪集めの係に就いた。
「鈴佳。何作ってるアル?」
「んー?」
雪集めもそこそこに、私はしゃがみ込んで、雪をすくいあげて小さな塊を作っていた。
それを見た劉は首を傾げて私の手元を見る。
「雪ウサギ作ってんの」
「雪ウサギ?」
「そ。こうして……ほら、出来た。可愛いでしょ」
落ちていた小さな石ころを目にして、二枚の枯れ葉をつける。
材料が不十分だったこともあって、どこか哀愁漂う雪ウサギの完成だ。
出来上がったそれを、私は劉に見せる。
「可愛いアルな」
「でしょー?あー…でも、手ぇ冷たくなっちゃった」
手袋もせずに素手で雪を触っていたせいで、私の手は真っ赤。
出来上がった雪ウサギを地面にそっと置いて、私は冷たくなった自分の手にハァと息をかける。
「何やってるアルか」
そんな私を見た劉は、私同様にしゃがみ込んで、私の冷え切った手を取った。