青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第14章 雪ウサギ
私がそう思いながら斜め前を歩く紫原を見上げると、氷室がその紫原の顔を覗き込む。
「…アツシ」
「何?」
「意外と雪像作り、楽しみでしょ?」
「……別に、そんなことないし」
「そう?」
氷室がそう言うと、紫原はプイっと顔を背ける。
こーゆーとこ、ホント子どもみたい。
「俺は結構楽しみだけどな」
そして、氷室はホント紫原の保護者。
それはもう。私と劉以上に。
「そんなこと言ってられるのも、今のうちだけだぞ。ありゃ、単なる重労働でしかないっ」
氷室と紫原の会話を聞いていた福井ちゃんが、二人を振り返り口を挟んだ。
「福井さんは、前にも雪像作りしたことあるんですか?」
「俺と岡村はな」
氷室が問いかけると、福井ちゃんが答える。
「わしらが一年ん時も、試合と奉仕活動日が重なってな。そん時も雪像作りじゃった」
へぇ…初耳。
三年が内容を知ってるってことは…案外早く終わるかも?
「汗かくわ、足場悪いわ、散々な目にあったよな」
「だなぁ…あとはまぁ、アイツらがのう…」
「ああ、ありゃねーよな」
アゴリラと福井ちゃんは、その時のことを思い出しながらうんざりした表情で溜め息をつく。