青春あやまち論anotherstory 【黒子のバスケ】
第13章 次こそは
それから間もなくして、全都道府県のWC出場校が決定した。
日に日に寒さの増すここでは、今日もWCに向けてより一層厳しい練習に励んでいた。
「うお!?」
「おおお…すげぇ!!紫原!!」
心なしか、紫原もいつもよりは気合が入っているように見えなくはない。
「はー…疲れた」
…はず。
コートに入れば、それなりにこちらが驚愕するプレイを見せるのに、コートから出た瞬間にこのやる気のない顔。
私はそんな紫原を少し笑い、ドリンクの籠を紫原の近くにドスンと置く。
「変わってるな、ホント。アツシは…」
「はあ?」
紫原の隣に居た氷室が、突然そんなことを口にした。
的を射ないその言葉に、紫原は「何のことだ」と言った顔で氷室を見る。
「いつも文句ばかり言いながら、練習は人一倍熱心だ」
あー確かに…私もそれはちょっと思ったわ。
なんて思いながら、私は氷室同様に紫原の顔を見て、返答を待つ。
「…嫌いだよ、練習なんて。ただ負けるのはもっと嫌いなの」
そう答え、紫原は汗を拭う。